法話集
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新年を迎え


五戸町 妙信寺住職

田中 康勝
 明けましておめでとうございます。今年一年が皆様にとってますます良き年になりますように、今年も一緒に信仰を深めて参りましょう。

 さて昨年は、子供が犠牲になる事件が多発しました。秋田の連続児童殺害事件や、全国で発生したいじめ問題事件等、数多くの方々の命が失われました。これらの痛ましい事件には深い悲しみを感じます。

 特に秋田の事件に関しては、なぜ親が他人の子・自分の子を殺せるのか、憤りを覚えます。家庭が崩壊していたのは事実でしょうが、この被告は我が子を見て「愛おしい」と感じなかったのでしょうか。

 以前、私は学校に勤めておりました。その時にも、やはり不遇な環境の下にひたむきに生きている生徒がたくさんおりました。両親はそれぞれ愛人の所に行ってしまい、兄弟の生活は自分が見ているという生徒。保護者が我が子を前にして「生みたくて生んだんじゃないのに、勝手に生まれたこの子を、何で育てなきゃならないんだ」などと罵倒する親。遊ぶ金が欲しく、我が子がバイトで貯めた金を平気で持っていく親。いじめられている事実を伝えても「いじめられる本人が悪い」と突き放す親。

 これらの生徒たちは皆、家庭の温かさを知らずに育っていました。当然、家庭生活とともに学校生活は荒れ、毎日が生徒指導の連続でした。しかし、時折見せる涙とともに発せられる「他の子がうらやましい」「違う家に生まれたかった」という声を聞くたびに、胸を締め付けられる思いがしました。

 何とか救ってあげたい。そう思いはしても、ただ祈り、見守り、相談に乗ってあげるしか私たちには出来ませんでした。少しでも心の支えになればよい、そう考えながら日々指導していたのを覚えています。

 卒業後、その生徒たちは全員親元を離れ、今では一人前に生活しています。何人かは結婚し、赤ちゃんを産み、その赤ちゃんの寝顔を見るたびに、幸せな家庭を作ろうという誓いをたてているそうです。自分の親を「反面教師」ととらえ、二度と同じ過ちは犯さない。我が子に悲しい思いは絶対にさせない。その生徒たちの自信あふれる力強い言葉に、安心感を覚えました。

 日蓮聖人は、『浄蓮房御所』というお手紙の中で、

  親の苦を休むるは子なり。(親の苦しみを和らげてくれるのは子供だ)

とお説きになっています。

 子供は宝であり、家庭の潤滑油であります。子供の寝顔を見るたびに、幸せな家庭を作ろうとしている教え子の家庭は、崩壊することはないでしょう。一番身近な共同体である家庭が、家族全員にとって幸せな場所でありますように、心から祈っております。

 最後に、『子育て四訓』を紹介し、締めくくりとさせていただきます。

   『子育て四訓』
  乳児はしっかり肌を離すな。
  幼児は肌を離せ、手を離すな。
  少年は手を離せ、目を離すな。
  青年は目を離せ、心を離すな 。