法話集
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醍醐味ということ


 最高の味・非常に美味しい味を醍醐味(だいごみ)ということはご存知でありましょう。この言葉は食べ物に限らず、例えば「読書の醍醐味」とか「登山の醍醐味」などともいいます。深い味わい、本当の楽しさや面白さを体験しての表現です。つまり醍醐とは最高・純粋・真髄を意味し、それらを極めたことの感動の言葉が醍醐味であります。

 ところで、この言葉は仏教語です。醍醐・醍醐味の語源は仏教語であり、仏教理解のための大事な用語であります。手元の国語辞典をめくってみれば、語源は仏教語と明記されているはずです。ある辞書では「釈迦如来の最上の教え」と説明されています。お釈迦さまの最高・最上の教えをさして醍醐といい、醍醐味というわけです。

 お釈迦さまのお説きになられた教え・仏教は、すべての人々が仏を目指し、仏となることを目標としています。そのための手段や方法などの説明が法話・説教であり、仏典・仏教経典としてまとめられました。お釈迦さまは仏道完成への道筋を、さまざまに解き明かされましたから、仏典はおびただしく伝えられ、残されたわけですが、その内容は聞き手に対応して、実に多種多様であります。初歩・初級の段階から進んで、高度で究極の教えへと導かれました。

 お釈迦さまが教えを説かれた過程を五段階に区切り、五味と称します。これは、牛の乳が熟すにしたがって変化する五つの味に、お釈迦さま一代の教えをなぞらえたものです。

 @乳味(にゅうみ)[牛乳]、A酪味(らくみ)[ヨーグルト]、B生酥味(しょうそみ)[生バター]、C熟酥味(じゅくそみ)[精製バター]、D醍醐味(だいごみ)[チーズ・精製バターを溶かしたときにできる上澄み]で、次第に最上の味・最も純粋で上等の味へと変化します。五味の第五番目の醍醐味が乳製品の最高のものというわけです。

 このように、仏典を五段階に分析・分類したなかでの最高の教え・醍醐味が、妙法蓮華経つまり法華経のことなのです。